歯のコラム

歯並びに影響する子どもの癖にはどんなものがある?癖の改善方法や治療法

こんにちは。埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」です。

歯を見せて笑う子供

歯並びが悪くなる原因として、顎や歯の大きさなどの先天的なものだけでなく、習癖などの後天的なものも挙げられます。

身についた口や顎に悪影響を与える癖を、口腔悪習癖と呼びます。具体的に、どのような癖が歯並びに影響を与えるのでしょうか。

この記事では、子どもの歯並びに影響を与える癖について詳しく解説します。癖を改善する方法についてもまとめていますので、お子さまの歯並びや癖が気になる方はぜひ参考にしてください。

 

癖が歯並びに影響することはある?

口を開けている子供

歯並びが悪くなる原因として、顎や歯の大きさといった遺伝的なものも挙げられますが、無意識に行っている癖も大きく影響します。歯並びに影響を及ぼす原因のうち、遺伝的な要素は全体の3割程度です。残りの7割は、日常生活における癖などの後天的な要因とされています。

歯並びに悪影響を及ぼす癖のことを、口腔悪習癖と呼びます。上顎の骨は6歳までに約80%成長するといわれており、この時期に口腔悪習癖があると成長過程にある子どもの顎の発達や歯並びに大きく影響します。

 

歯並びに影響する癖の種類

指しゃぶりしている子供

歯並びは、舌が内側から押す力と唇や頬の筋肉によって外側から押される力で、バランスが保たれています。歯並びに悪影響を及ぼす癖があると、歯や顎に通常とは異なる力が加わり、バランスが崩れて、歯並びが悪くなるのです。

子どもの歯並びに影響を与える癖は、主に以下の5つです。

  • 指しゃぶり
  • 口呼吸
  • 舌癖
  • 食べ物をよく噛まない
  • 悪い姿勢

これらの癖が、歯並びにどのような影響を及ぼすのかを詳しく解説します。

 

指しゃぶり

指しゃぶりはほとんどの乳児にみられ、子どもの成長過程において重要な役割を果たします。3歳頃には、自然と指しゃぶりをやめる子どもが多いでしょう。

しかし、4歳以降も指しゃぶりが続くと、歯並びに悪影響を及ぼす可能性があります。

指しゃぶりを続けると、指が上下の歯に挟まれた状態が続きます。指に歯が押されて前歯の位置がずれ、外側に広がるのです。上下の前歯に隙間が生じる開咬や、歯と歯の間に隙間が生じる空隙歯列(すきっ歯)、上顎前突(出っ歯)の原因になるでしょう。

爪や下唇を噛む癖も、指しゃぶりと同様に歯並びに悪影響を及ぼす可能性があるので、注意が必要です。

 

口呼吸

口呼吸をしていると舌が適切な位置からずれるため、唇や頬から歯にかかる力のバランスが崩れて歯並びが悪くなる原因になります。

舌は上顎に密着した状態が正しい位置ですが、口呼吸の場合は舌が下がり、内側から歯を押す力が弱まります。また、口呼吸により口周りの筋力が低下すると、前歯を内側に押す力も弱くなります。

子どもが成長期に口呼吸を続けていると、上顎の骨の成長が妨げられて歯列の幅が狭まります。その結果、上顎前突(出っ歯)や、歯がばらばらの方向に生える乱杭歯などの原因になる可能性があります。

 

舌癖

舌を前に出す癖があると、歯が前方に押されます。わずかな力でも、長期間続くと歯並びに悪影響を及ぼします。

舌を前に出して歯を押したり、上下の歯に舌を挟んだりする癖を、舌癖と呼びます。また、嚥下の際に舌で前歯を押しながら飲み込む癖を、異常嚥下癖と呼びます。

このような癖は、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)、開咬の原因となる可能性があります。

 

食べ物をよく噛まない

柔らかい食べ物ばかりを食べていたり、よく噛まずに飲み込む癖があったりすると、口周りの筋肉が十分に発達しません。その結果、顎の成長が妨げられ、歯並びに悪影響を及ぼします。

硬い食べ物を食べる時は顎の上下運動を行うだけでなく、奥歯を横に動かして食べ物をすりつぶし、舌や喉の筋肉を使って飲み込みます。柔らかい食べ物を食べる時は、顎の上下運動のみで食べ物を噛み砕くことができ、喉の筋肉を使わなくても自然に食道に流れ込みます。

そのため、咀嚼や嚥下に必要な筋肉が発達せず、顎の成長も進まなくなるのです。顎の成長が不十分だと、永久歯が並ぶスペースが不足して乱杭歯になる可能性が高いです。

 

悪い姿勢

歯並びは口周りの癖だけでなく、姿勢の影響も受けます。子どもの頃に背中が丸まっている姿勢を続けると、顎が適切な方向へ成長するのが妨げられ、歯並びに悪影響を及ぼします。

頬杖をつく、体育座りで膝に顎を乗せる、うつぶせになる、横向きで寝るなどの癖があると、顎にかかる力のバランスが崩れ、歯並びが悪くなる原因となります。

 

歯並びに影響する癖を改善する方法

大きなおにぎりを食べている子供

子どもの歯並びは、癖によって悪化することがあります。歯並びに影響する癖が子どもに見られる場合は、早めに対策して改善することで、歯並びが悪化するのを予防できます。

以下で、子どもの歯並びに影響する癖を改善する方法についてご紹介します。

 

指しゃぶりをやめさせる方法

3歳頃までの指しゃぶりが歯並びに影響を及ぼすことは基本的にはなく、無理にやめさせる必要はありません。4歳以降も指しゃぶりをやめられない場合は、歯並びに悪影響を及ぼす可能性があるためやめさせましょう。

指しゃぶりをやめさせるには、子ども本人に指しゃぶりをするとダメな理由を根気強く説明することが重要です。大きな声で叱ったり、手を取って無理に禁止したりして怖がらせないようにしましょう。

おもちゃを使って遊んだり、絵本を読んであげたりすることで、気がそれて指しゃぶりをやめられることがあります。子どもが時間を持て余している時などは、積極的に声をかけて気をそらしてあげましょう。

 

口呼吸をやめさせる方法

子どもの口呼吸がなかなか改善しない場合は、鼻づまりや歯並びが原因で口呼吸になっている可能性があります。そのような場合は、本人の努力だけでは改善できません。

耳鼻咽喉科や小児歯科を受診して、必要に応じた治療を行い、自然に鼻呼吸ができる環境を整えてあげましょう。

鼻づまりがなく、歯並びにも問題がないのに口呼吸になっている場合は、意識的に鼻呼吸をするように声をかけてあげましょう。意識的に鼻呼吸をさせることで、口を閉じる時間が長くなり口周りの筋肉が鍛えられます。

大きく動かすあいうべ体操や、シャボン玉やなどの遊びも、口周りの筋肉を鍛えて鼻呼吸に導く効果的な方法です。

どうしてもやめられない場合は、歯科医院でMFT(口腔筋機能療法)を受けるとよいかもしれません。MFTは、口周りの筋肉のバランスを整えて、舌癖や口呼吸を改善するためのトレーニングです。

 

舌癖をやめさせる方法

舌癖をやめさせるためには、子どもに舌の正しい位置や嚥下方法を教え、習慣化させることが重要です。また、口呼吸が原因で舌癖が生じている場合は、口周りの筋肉を鍛えることで改善されるでしょう。

マウスピースを使用して、舌を正しい位置に誘導する矯正法もあります。気になる方は歯科医院に相談してみましょう。

 

食べ物をよく噛むようにする方法

柔らかいものや小さく切ったものばかり食べていると、無意識に噛む回数が減り口周りの筋肉や顎の成長が妨げられます。適度に硬いものや大きいものに食形態を変更し、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。

また、子どもは食事を急かされると、よく噛まずに丸飲みすることがあります。ゆっくりと楽しんで食事ができるように工夫してみましょう。

 

姿勢をよくする方法

食事中に足が台や床につかず、背中を丸めて前かがみになっていると、食べ物を噛む力が鍛えられません。また、テレビを見ながら食事をしていると、首や体が傾いて姿勢が悪くなります。

食事中はテレビを消して、床や台に足をつけて、姿勢よく食べられるように環境を見直しましょう。

 

歯並びが悪くなるリスク

虫歯治療をしている子供

子どもの歯並びが悪いまま放置すると、心や身体にさまざまな悪影響を及ぼします。そのため、子どもの歯並びの問題は放置せず、早めに歯科医院で相談しましょう。

以下に、子どもの歯並びが悪いまま放置するリスクについて解説します。

 

虫歯や歯周病のリスクが高まる

歯並びが悪いと、歯が重なっている部分に磨き残しが生じ、細菌が繁殖しやすい口内環境になります。虫歯や歯周病になるリスクが高まるでしょう。

また、受け口や出っ歯の場合は口を閉じにくいです。口内が乾燥して細菌が繁殖し、虫歯や歯周病になる可能性が高くなるでしょう。

 

発音しにくくなる

歯並びが悪いと、発音しにくくなります。特に、すきっ歯や受け口の場合、発音に支障をきたす可能性が高いでしょう。

すきっ歯の場合、歯と歯の隙間から空気が漏れやすく、イ段の発音が難しくなります。受け口の場合は、舌が正常な位置に収まっていないことが多く、サ行やタ行の発音が不明瞭になることがあります。

発音しにくくなることで、コミュニケーションにも影響を与える可能性があるでしょう。

 

見た目にコンプレックスを抱く

歯並びが悪いと身体面だけでなく、精神面にも影響を及ぼします。歯並びが悪いことで笑顔に自信を持てず、精神的なストレスを感じるかもしれません。

特に、幼少期や思春期にこのようなストレスを抱えると、消極的な性格になる可能性があります。

 

歯並びが悪くなった場合の治療方法

小児矯正をする子ども

子どもの歯並びが悪くなった場合の矯正治療は、乳歯が抜けて永久歯が生えそろうまでの時期に行うⅠ期治療と、永久歯が生えそろってから行うⅡ期治療に分けられます。以下では、それぞれの治療について詳しく解説します。

 

Ⅰ期治療

乳歯が抜けて永久歯が生えそろうまでの時期を混合歯列期と呼び、6~12歳頃が該当します。Ⅰ期治療は混合歯列期に行う治療で、子どもの顎の成長を利用して土台を作ります。

顎の適切な成長を促し、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保することで、自然と歯並びが整うのです。完全に整わないことはあるので、Ⅰ期治療の後にⅡ期治療に進むケースもあります。

 

Ⅱ期治療

永久歯が生えそろってからの時期を永久歯列期と呼び、12歳以降が該当します。Ⅱ期治療では、永久歯を動かして適切な位置に移動させることで、歯並びを整えます。

大人の矯正治療と同じ矯正装置を使用することができ、ワイヤー矯正やマウスピース矯正で治療するのが一般的です。Ⅰ期治療から開始していて土台が整っている場合は、Ⅱ期治療の期間が短縮できることもあるでしょう。

 

まとめ

笑っている子供

お子さまが普段何気なく行っている癖でかかる力はわずかでも、継続して行うことで歯並びや顎の成長に悪影響を与えることがあります。お子さまの歯並びを悪くさせないためにも、早めに癖を直すことが大切です。

そのためには、保護者や周囲の大人が、歯の状態だけでなく気になる癖がないかをチェックすることが大切です。お子さまの癖に早い段階で気づいて対処することができれば、将来的に矯正治療をする必要がなくなる可能性もあるでしょう。

お子さまの歯並びや癖が気になる方は、埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。