こんにちは。埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」です。
子どもがすきっ歯の場合、矯正をすべきか放置してもいいのか悩む方もいるでしょう。とくに、すきっ歯を放置した結果もっと歯並びが悪くなるのであれば、早めに治療をしておきたいと考える方が多いのではないでしょうか。
本記事では、子どものすきっ歯を放置するリスクがあるのかについて解説します。子どものすきっ歯の治療法も併せて解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
すきっ歯とは?
すきっ歯とは、歯に隙間が生じている状態です。歯科用語では空隙歯列といいます。
日本では幸運が逃げるといわれたり、アメリカでは見栄えが悪いといわれたりするため積極的に治療する人が多いです。フランスでは幸運が入り込むと考えられているため、積極的に治療をしない人が多いです。
厚労省がおこなった調査では、12~20歳ですきっ歯の方の割合は10%程度とされています。そのほとんどの方が、上下ともにすきっ歯があるという結果が出ています。
子どもがすきっ歯になる原因
子どもがなぜすきっ歯になるのか気になる方もいるでしょう。子どもがすきっ歯になる原因は、次の通りです。
アグリーダックリングステージ
乳歯から永久歯に生え変わるタイミングは、アグリーダックリングステージと呼ばれます。この時期は顎の成長も著しく進むため、乳歯と永久歯が混在する時期に一時的にすきっ歯となります。
通常、乳歯よりも永久歯のほうが大きいので、永久歯がきれいに生えるためには乳歯の段階ではすき間が空いているほうが良いとされます。生え変わりが途中で隣の歯が乳歯であれば隙間が広く見えますが、隣の歯が永久歯に生え替わると自然に隙間が閉じてくることが多いです。
昔はアグリーダックリングステージのタイミングですきっ歯治療をした方がよいと考えられていましたが、現在はこの段階では治療をせずに様子を見てもよいといわれています。上述した通り、生え変わりが進めば自然にすき間が閉じることが多いためです。
歯の本数が足りていない
日本小児歯科学会が2007~2008年にかけて行った全国調査、永久歯先天欠如の発生頻度に関する調査研究によると、7歳以上の子どもの10.1%が永久歯の先天性欠如となっていることがわかっています。つまり、永久歯が生まれつき作られていないということです。
永久歯が乳歯の下で成長すると、乳歯の根を溶かす細胞が現れます。根が溶かされると乳歯が動揺し始めて抜けて、下から永久歯が生えてくることで生え変わりが完了します。
しかし、先天性欠如の場合は永久歯が生えてこないため、乳歯が抜けずに残ります。歯の大きさが永久歯とは異なるため、すきっ歯につながるのです。
上唇小帯が長い
上唇小帯とは、上の前歯の上にある筋のことです。上唇と歯茎を繋いでいる筋ですが、この筋が発達していて長いと歯に隙間ができます。上唇小帯は時間がたつにつれて少しずつ収縮するため、一時的なものとも考えられています。
成長しても収縮せずすきっ歯が治らない場合は、切除する手術を行うケースもあります。
過剰歯もしくは矮小歯がある
過剰歯とは、歯の本数が生まれつき多い状態です。過剰歯は歯茎のなかに埋まったまま生えてこないケースが多く、埋まった歯が邪魔をした結果、永久歯が正常に生えてこられずすきっ歯となるのです。
また、矮小歯といって歯のサイズが小さい場合にも、すきっ歯になることがあります。永久歯が生えてきても周囲の歯よりも小さいため、すきっ歯となります。
すきっ歯になるクセがある
舌で無意識に歯を前方へ押し出すなど、舌のクセがある場合や、指しゃぶりの癖がある場合は、すきっ歯になりやすいです。舌や指で歯を前に押し続けることで、歯並びが乱れるリスクがあるのです。
とくに、子どもは無意識のうちに舌のクセがつくことがあるため、先天的な原因が無ければ舌のクセや指しゃぶりが原因かもしれません。
子どものすきっ歯を放置するとリスクはある?
子どものすきっ歯は様子を見てもよいケースもありますが、そのまま放置してよいわけではありません。子どものすきっ歯を放置すると、子どもの成長発達にさまざまなリスクをもたらす可能性があります。
子どものすきっ歯を放置することで起こり得るリスクは、次の通りです。
発音に影響が出る
すきっ歯の場合、歯と歯の間から空気が漏れるため発音に影響が出ると考えられています。とくにサ行やタ行を発音するときに空気が漏れやすくなります。
うまく発音できないため、コミュニケーションに影響が出る可能性が高まります。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
歯と歯の間に物が挟まりやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。とくに幼い子どもは自分の力で十分に歯磨きできません。
仕上げ磨きを怠ると歯の隙間に食べかすや虫歯の原因となるプラークが残り続けるため、すきっ歯ではない人よりも虫歯や歯周病のリスクが高まるでしょう。
食事がしにくい
すきっ歯は、歯と歯の間に食べ物が挟まったり詰まりやすかったりします。それだけでなく、物を噛みきりにくい、すりつぶしにくいなど食事に影響が出て、食事の際にストレスを感じるかもしれません。
また、十分に食べ物をすりつぶしたり噛んだりできないことから、胃腸に負担をかける可能性もあります。
見た目にコンプレックスを感じる
歯の隙間があいていると、見た目にコンプレックスを感じるかもしれません。子どもの頃に見た目にコンプレックスを感じて、口元を隠したり口を開けて話せなくなったりする可能性もあります。
大人になってもコンプレックスが続き、人とのコミュニケーションに影響が出る可能性もあるでしょう。
子どものすきっ歯を治療する方法
子どものすきっ歯を早く治療しなければと思う方もいるかもしれません。
しかし、アグリーダックリングステージの場合と、上唇小帯が長い場合は、いったん様子を見ても問題ないといわれています。7歳頃になっても明らかなすきっ歯である場合には、治療を検討したほうがよいでしょう。
子どものすきっ歯を治療するためには、まずすきっ歯になった原因を特定する必要があります。子どもの場合、すきっ歯の原因が先天的なケースと後天的なケースがあります。原因を解明したうえで、次のような治療をおこないます。
外科的治療
すきっ歯の原因が過剰歯や埋伏歯であったり、上唇小帯が長かったりする場合には、過剰な歯を抜いたり上唇小帯を切除したりといった外科的な治療がおこなわれます。健康な歯を抜くことに抵抗がある方は多いため、しっかりと歯科医師と話しあって納得した状態で治療に臨みましょう。
矯正治療
すきっ歯の治療でもっとも有効なのが矯正治療です。すきっ歯の矯正治療は大人の矯正治療と同じで、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のいずれかを行うことが多いです。
ワイヤー矯正は、歯につけたブラケットにワイヤーを通しておこなう治療です。すきっ歯以外にも、歯並びが複雑になっていたり隙間が広くあいていたりといったさまざまなケースに対応できます。
マウスピース矯正は、マウスピースを装着して少しずつ歯を動かしていく治療です。子どもでも着脱が容易でワイヤー矯正よりも痛みが少ないとされています。装着時間や交換時期を守らないといけないので、保護者の方も協力して管理する必要があります。
クセを治すためのトレーニング
指しゃぶりをしたり舌で押したりといったクセがある場合には、先に矯正治療をしても再びすきっ歯になる可能性が高いです。そのため、先に癖を治すトレーニングをおこないます。
このトレーニングをMFT(口腔筋機能訓練)といい、歯科医院で受けられます。このトレーニングですきっ歯に影響を及ぼすクセを治してから矯正治療にうつることで、再びすきっ歯になるリスクを低減できるでしょう。
まとめ
子どもは、成長過程で一時的にすきっ歯となることがあります。成長過程でのすきっ歯は基本的に問題ありません。
しかし、経過を見ていてもすきっ歯が改善されるように感じられない場合には、治療する必要があります。発語や食事に影響が出たりコンプレックスを抱えたりする可能性があるためです。
先天的な原因ですきっ歯になっている場合もあるため、慎重に原因を解明してから治療をします。後天的な原因ですきっ歯となっている場合には歯列矯正が有効でしょう。
すきっ歯で悩んでいる方は、まずは原因を解明して治療方法を検討しましょう。
子どものすきっ歯の治療を検討されている方は、埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。