こんにちは。埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」です。
こどもの歯並びを改善する方法として、プレオルソと床矯正がよく知られています。
プレオルソは、マウスピース型の装置を用いて口周りの筋肉のバランスを改善し、間接的に歯並びを整える方法です。床矯正は顎の骨を拡大し、直接的に歯並びを改善する治療法です。
今回は、プレオルソと床矯正の特徴とメリット・デメリットを、比較しながら詳しく解説します。
こどもの矯正治療の流れ
こどもの矯正治療は、2段階にわけて行われます。
1期治療は、乳歯と永久歯が混在する混合歯列期に行われる治療です。顎の成長を促進し、将来的な歯並びの問題を予防します。
1期治療では、床矯正などを用いることが多いです。1期治療を行うことで、将来的に複雑な矯正治療が必要になる可能性を減らすことができます。
2期治療は、永久歯がすべて生え揃ったあと、通常12歳頃から始める治療です。2期治療は、永久歯の位置を正確に調整し、噛み合わせを改善することを目的としています。
2期治療では固定式の矯正装置が使用されることが多く、1期治療によって改善された顎の状態をもとに、より細かく歯並びを整えます。
プレオルソとは?
プレオルソとは、こどもの歯並びを改善するために設計されたマウスピース型の矯正装置です。歯を直接動かすのではなく、歯並びの根本的な原因である口周りの筋肉のバランスを調整し、間接的に歯並びを整えることが特徴でしょう。
歯並びは、口周りの筋肉のバランスによって保たれています。そのため、筋肉のバランスが崩れると歯並びが乱れることがあります。
筋肉のバランスが整っていれば、歯は自然と理想的な位置に整うのです。プレオルソを装着することで、口周りの筋肉を適切に訓練してバランスを調整します。
プレオルソのメリット
プレオルソのメリットは、以下のとおりです。
取り外せる
プレオルソは取り外せるため、治療中の生活へのストレスを軽減できます。歯磨きをふだんどおり行えるので、虫歯や歯周病のリスクも低減できるでしょう。
こどもの場合、乳歯が虫歯になると、将来生える永久歯にも悪影響を及ぼす可能性があります。乳歯の虫歯は、予防することが重要なのです。
装着時間が短い
プレオルソの装着時間は、ほかの矯正装置に比べて短いです。就寝時と日中1時間の装着を指示されるのが一般的で、保護者の方が監視できるタイミングで使用できます。
学校などでの装着が不要なので、無理なく治療を継続することが可能です。日常生活への影響が少なく、学業や遊びに集中できるためストレスを軽減できるでしょう。
保護者の方も、こどもが装置を適切に使用しているかどうかを確認しやすいので、治療の進行状況を把握しやすいです。
痛みを感じにくい
プレオルソでは、歯を直接移動させません。筋肉のトレーニングを通じて歯並びを間接的に改善します。
そのため、治療中に感じる痛みが少ないです。装着時間が短いため、矯正装置が長時間口内の粘膜に触れて痛みを引き起こすこともないでしょう。プレオルソは柔らかいシリコン素材で作られており、口内を傷つける心配もありません。
指しゃぶりを改善できる可能性がある
特筆すべきメリットは、指しゃぶりや口呼吸などの悪癖を改善できる点です。
指しゃぶりは歯に圧力をかけ、将来の歯並びに悪影響を及ぼす可能性があります。口呼吸は口内の乾燥を引き起こし、虫歯菌が繁殖しやすい環境を作り出します。
プレオルソで悪癖を改善すれば、より健康な口内環境を維持できるでしょう。
歯列矯正をスムーズに進められる
プレオルソは、口周りの筋肉のバランスや舌の位置を改善することに重点を置いた治療法です。歯並びを悪化させる根本的な原因を改善できるため、将来的に本格的な歯列矯正を行う際、治療期間を短縮できるでしょう。
早期にプレオルソを用いれば、歯並びが乱れる原因がなくなり、本格的な歯列矯正が不要になるケースもあります。
プレオルソのデメリット
プレオルソのデメリットは、以下のとおりです。
装着時間を守る必要がある
プレオルソのデメリットとして、治療効果が装着時間に大きく影響する点が挙げられます。歯科医師から指示された装着時間を守らないと、治療効果が十分に得られません。
保護者の方の目が届かないときにこどもが装置を外しており、必要な装着時間を満たさないケースも多いです。プレオルソの治療効果を最大限に引き出すためには、推奨される装着時間をしっかりと守りましょう。
完全に歯列が整わないことがある
プレオルソは、歯並びを悪くする原因に対処する予備矯正の装置です。完全に歯列が整わないこともあるでしょう。
理想的な歯並びを目指す場合は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正のような本格的な歯列矯正を受ける必要があります。
ただし、プレオルソを用いた早期治療が無駄になることはありません。早期の介入によって、将来的な歯並びの悪化を予防できます。
本格的な歯列矯正が必要になった場合でも、治療期間を短縮できるでしょう。
床矯正とは?
床矯正とは、取り外し可能な装置を口内に装着し、顎の骨を拡大して歯を正しい位置に導く治療法です。治療が必要な部位に応じて、上顎や下顎に装置を装着します。
歯の内側に装置を設置して顎を広げることで、抜歯せずに歯が並ぶスペースを作れることが特徴です。
床矯正に使用される装置は、プラスチック製のプレートにスクリュー(ネジ)やスプリングが取り付けられています。スクリューを回すことで装置の幅が徐々に広がり、顎に力をかけて骨を拡大するのです。
床矯正のメリット
床矯正のメリットは、以下のとおりです。
抜歯せず歯列を整えられる可能性が高い
床矯正の最大のメリットは、抜歯せずに歯列を整えられることでしょう。顎を拡張することで、新しく生えてくる歯に必要なスペースを作り出します。永久歯を保持しながら矯正治療を進められるのです。
床矯正だけでは歯並びが完全には改善されない場合でも、永久歯がすべて生え揃ったあとの2期治療に進んだ際、スムーズに治療が進む可能性が高いです。
取り外せる
床矯正はプレオルソと同様、装置を着脱できます。食事や歯磨きの際は装置を外せるため、ストレスなく過ごせるでしょう。
今までどおりに食事を楽しむことができ、歯磨きによって口腔内を清潔に保つことも可能です。
痛みを感じにくい
床矯正は、一度に強い力をかけるのではなく、ゆっくりと顎に力を加えます。混合歯列期にある顎の成長に合わせて、治療を進めることが可能です。
床矯正のデメリット
床矯正のデメリットは、以下のとおりです。
装着時間を守る必要がある
床矯正も、治療効果は装置の装着時間に依存します。装置はこども自身で着け外しが可能ですが、決められた装着時間を守らないと治療が計画どおりに進みません。
食事や歯磨き、外出時など特定のタイミングを除いて、装置を外さないようにすることが重要です。こどもとルールを設定し、保護者の方が1日の装着時間を適切に管理する必要があるでしょう。
後戻りのリスクがある
床矯正には、後戻りのリスクが伴います。後戻りとは、矯正治療で動かした歯がもとの位置に戻る現象のことです。
矯正治療直後の歯並びは、非常に不安定な状態です。床矯正によって歯並びが改善されても、もとの歯並びに戻ることがあります。
床矯正に限らず、矯正治療後は歯並びを固定させるための保定期間が必要です。保定期間は、リテーナーという装置を使用して歯並びを固定します。
発音が困難になる可能性がある
床矯正は、装着している間に違和感を覚えることがあります。床矯正用の装置は比較的大きく複雑な形状なので、強い異物感を覚えるこどもも多いです。
装着時の違和感は、治療を開始してから1~2週間で慣れるのが一般的です。初期の違和感は過度に心配する必要はなく、不安や不快感を抱えるこどもをサポートしてあげましょう。
プレオルソと床矯正の違い
プレオルソと床矯正の違いを、以下の表にまとめました。
<プレオルソと床矯正の違い>
治療方法 | プレオルソ | 床矯正 |
---|---|---|
治療の目的 | 口周りの筋肉のバランスを改善する | 顎の骨を拡大し、歯が並ぶスペースを作る |
装置 | 取り外し可能なマウスピース型装置 | 取り外し可能な床矯正装置 |
装着時間 | 日中1時間と就寝時 | 指示された時間(1日14時間以上が一般的) |
治療対象 | 主にこども | 混合歯列期のこども |
痛みの有無 | 比較的痛みが少ない | 痛みが少ないが、装置の大きさによる違和感がある |
さまざまな違いがあるため、お子さまに適した治療法を選択しましょう。
1期治療で歯並びが整わないときは
1期治療によって歯並びが十分に改善されなかった場合、2期治療に移行します。2期治療では大人と同様の手法を採用することが多く、ワイヤー矯正やインビザラインが用いられるでしょう。
インビザラインは2期治療で使用される透明のマウスピース型の矯正装置ですが、1期治療から使用できるインビザラインも存在します。
インビザライン・ファーストは、特にこどもの矯正治療に適したマウスピース型の透明な矯正装置です。固定式の矯正装置とは異なり、装置が目立たず取り外し可能であるため、日常生活における違和感が少なく、食事や歯磨きが容易に行えます。
インビザライン・ファーストは、こどもの顎の成長段階や歯の状態を考慮して設計されます。永久歯が生え揃う前に歯列を調整し、噛み合わせを改善できるでしょう。
まとめ
プレオルソと床矯正は、こどもの歯並びを改善するための矯正治療です。
プレオルソは、口周りの筋肉のバランスを改善することで間接的に歯並びを整える方法です。日中1時間と就寝時に装着し、こどもの歯並びを整えます。
床矯正は、顎の骨を拡大して直接的に歯並びを整える治療法です。混合歯列期のこどもに適しています。
現在では、2期治療の必要性を低減するインビザライン・ファーストが注目を集めています。インビザライン・ファーストは混合歯列期のこどもに対応する、インビザライン矯正の一つです。顎の拡大と歯並びの調整を同時に行えるため、より高い治療効果を期待できます。
小児矯正を検討されている方は、埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。