こんにちは。埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」です。
「床矯正」という治療法をご存じでしょうか。一般的な歯科矯正では、歯をきれいに並べるスペースを作るために抜歯をすることがあります。
しかし、床矯正は抜歯をせずに顎を広げて歯をきれいに並べるスペースを作る治療法です。床矯正を検討されている方のなかには「床矯正ができる年齢は?」「床矯正の治療期間はどれくらい?」など疑問をおもちの方もいるでしょう。
今回は、床矯正の適応年齢や治療期間、こどものうちから床矯正をするメリットについて解説します。床矯正で歯並びが改善できなかった場合の対応についても解説しますので、お子さんの歯科矯正を検討中の方や床矯正について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
床矯正とは?
床矯正(しょうきょうせい)とは、取り外しが可能な装置を使い、歯を並べるためのスペースを作る目的で行われる歯科矯正の一つです。こどもの顎の骨の成長に合わせて正しい歯並びへと導くことで、将来永久歯が生え揃ってから矯正をするときに抜歯をする必要がなくなります。
床矯正の「床」とは、入れ歯のように歯茎を覆う部分のことです。通常は歯科用のプラスチック(レジン)で作られています。
床矯正の仕組みや適応されるケースについて気になる方も多いでしょう。ここでは、床矯正の仕組みと適応されるケースについて解説します。
床矯正の仕組み
床矯正の装置は、プラスチックのプレートと装置を固定するワイヤー、顎を広げるネジで構成されています。
ネジを回すと装置の幅が広がり、装置に合わせて顎の横幅も徐々に広がるという仕組みです。顎の横幅を広げて歯を並べるスペースを作ることで、歯並びを正しい位置に整えます。
顎の横幅を拡大するというのは、厳密には歯を支えている骨である歯槽骨(しそうこつ)を正しい位置に導くということです。
床矯正が適応されるケース
床矯正は、以下のようなケースで適応が検討されます。
- 叢生(そうせい):歯並びがガタガタしている状態
- 上顎前突:上の前歯が下の前歯よりも前に出ている状態(出っ歯)
- 下顎前突:下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態(受け口)
- 上下顎前突:上下の顎が前に突き出ていて、唇が閉じづらい状態
- 開咬(かいこう):噛み合わせたときに上下の前歯の間にすき間があいている状態
- 過蓋咬合(かがいこうごう):上の歯が下の歯にかぶさっている状態
- 交叉咬合(こうさこうごう):噛み合わせが部分的に反対になっている状態
床矯正は、上記のような症例に対して効果的な治療法といわれています。お子さんが適応となるかは歯科医師の判断によるため、床矯正を検討中の方は、歯科医院を受診して相談しましょう。
床矯正の適応年齢
床矯正の適応年齢は、4~12歳頃です。この時期は乳歯と永久歯が混在している「混合歯列期」と呼ばれ、成長が盛んであるため効率よく顎の骨を拡大できます。
しかし、歯の生え具合や歯並び、顎の状態などは個人差があるため、気になる方は一度歯科医院で相談するとよいでしょう。
また、床矯正は歯や顎の骨の成長を利用する治療法であるため、基本的にはこどもの頃に行います。状況によっては大人の矯正にも適応できますが、顎が成長しきっていると治療が長引くケースも多いでしょう。
床矯正の治療期間
床矯正の治療期間は、2~3年程度です。
しかし、治療期間はお子さんの歯や顎の状態、年齢、治療を始めた時期などによっても異なります。また、装置の装着時間にも左右されるため、必ず歯科医師に指示された装着時間を守りましょう。
こどものうちに床矯正をするメリット
こどものうちに床矯正をするメリットは、主に以下の3つです。
- 抜歯をせずに歯並びが整う可能性がある
- 治療に伴う痛みが少ない
- 装置を自由に取り外しできる
それぞれ詳しく解説します。
抜歯をせずに歯並びが整う可能性がある
床矯正は、乳歯と永久歯が混在している混合歯列期に行う1期治療です。歯を並べる土台作りの時期ともいえます。
床矯正は歯を並べるスペースそのものを広げるため、2期治療(永久歯が生え揃ってから行う治療)が必要になっても、抜歯を避けられる可能性があるのです。抜歯せずに歯並びを整えられる可能性があるのは、歯科矯正において大きなメリットといえるでしょう。
治療に伴う痛みが少ない
床矯正は、顎の成長に合わせてゆっくりと力をかけて顎を広げていく治療です。歯を並べるためのスペースを徐々に作り出していくため、一度にたくさんの力をかける必要がありません。
強い力がかかりにくいことからも、一般的な矯正治療よりも痛みを感じにくいのです。痛みが少ないと治療に対するストレスが軽減され、お子さんの協力も得られやすいでしょう。
装置を自由に取り外しできる
床矯正は、自由に装置の取り外しができるという特徴があります。一般的な歯科矯正は歯の表面や裏側に装置を固定するため、取り外しができないことがほとんどです。
一方、床矯正であれば食事や歯磨き、また音楽の授業といった場面で自由に取り外せます。目立ちにくく見た目もあまり気にならないため、お子さんにとっては大きなメリットといえるでしょう。
しかし、頻繁に取り外すと効果が得られず、治療期間が長引くおそれがあります。
床矯正で歯並びが改善できなかった場合は
床矯正で思うように歯並びが改善できなかった場合は、歯並びを整えるための治療が必要です。床矯正だけで歯並びが改善できるケースもありますが、さらに細かく歯並びや噛み合わせなどを調整する必要がある場合にはワイヤー矯正やマウスピース矯正に移行します。
床矯正でしっかりと土台ができていても、歯を1本1本動かすことや、ねじれている歯の向きを矯正することはできません。そのため、ワイヤー矯正やマウスピース矯正を行い、歯並びをきれいに整えていくのです。
ワイヤー矯正は昔からある方法で、歯にブラケットという部品を直接装着してそこにワイヤーを通し、少しずつ歯を動かしていく方法です。床矯正の装置とは異なり、ご自身で取り外すことはできません。
一方、マウスピース矯正で使用する装置は床矯正と同様に取り外しが可能で、透明で目立ちにくいです。混合歯列期のお子さま向けのマウスピース矯正の一つに「インビザライン・ファースト」があります。
これまで透明なマウスピースによる矯正は、永久歯列期にならないとできませんでしたが、2019年に混合歯列期のお子さま向けにインビザライン・ファーストが開発されました。インビザライン・ファーストは、歯を並べるスペースを作りながら、歯並びも整えられます。
まとめ
今回は、床矯正の適応年齢や治療期間、こどものうちから床矯正をするメリットについて解説しました。
床矯正はこどもの顎の成長に合わせて行われる治療で、適応年齢は4~12歳頃です。この時期は乳歯と永久歯がどちらも存在している混合歯列期で、顎の骨の成長を利用した治療ができます。お子さんの歯の生え具合などにもよりますが、効率のよい治療が期待できるでしょう。
床矯正の治療期間は2~3年程度です。成長に合わせて治療を行うため痛みが少なく、将来的に矯正が必要になった場合でも抜歯をせずに歯並びを整えられる可能性もあるなど、さまざまなメリットがあります。
ただし、床矯正だけでは十分に歯並びが改善できないケースもあり、その場合にはワイヤー矯正やマウスピース矯正で歯並びを整える必要があります。
お子さんの歯並びの状態に合わせた矯正方法を選択することが重要であるため、歯科医師に相談し、どのように治療を進めていくか検討しましょう。
床矯正を検討されている方は、埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。