歯のコラム

患者さまからの質問にお答えします 19歯磨き粉は何を使えばいいの?編

こんにちは。上尾市の歯医者 とも歯科矯正歯科クリニック院長の中川です。

今回も当院にいらっしゃっていただいた患者さまからの質問にお答えします。

20代女性からの質問です。

「いつも使っている歯磨き粉があるんだけど、先生、歯磨き粉は何を使えばいいの?」

すごくよく聞かれる質問です。

歯磨き粉、めちゃくちゃ種類があって迷いますよね。

 

では、歯磨き粉のお話をさせてください。

歯磨き粉は基本成分と医薬部外品の『薬用歯磨き類』に配合される薬効成分とで構成されています。

 

『基本成分』

①研磨剤

歯面に沈着したプラークや色素性沈着物(ステイン)などを落とす役割があります。

ただし、研磨剤が強力なものは歯に負担をかけてしまいますので、注意が必要です。

 

②発泡剤

泡立つことによって、他の薬効成分等が口の中に広がりやすく、汚れを落とすための洗浄効果が高まります。

泡立つことで爽快感があるため、磨いた気になりやすくなる点に注意が必要です。

 

③香味料

においや味を含むものをさします。

ハミガミ中の爽快感が増すと共に、消臭作用もあるので口臭予防に一役かっています。

他の薬効成分等の特有のにおいや味を和らげるはたらきもあります。

 

④湿潤剤

歯磨き粉の乾燥を防ぐと共に、歯磨き粉に湿り気を含ませる働きがあります。

 

⑤粘結剤

研磨剤をはじめとする基本成分や薬効成分と、液体成分の分離を防ぎながら適度な粘り気を与えて泡立ちを調整するものです。

 

⑥着色剤

歯磨き粉の色味を調整します。

 

⑦保存料

歯磨き粉の防腐や品質の劣化等を防ぐ役割があります。

 

以上がほとんどの歯磨き粉に含まれる基本成分です。

これからお話しする薬効成分の違いにより色々な種類の歯磨き粉が出来上がります。

そもそも歯磨き粉に含まれる薬効成分とはどの様なものかというと、含まれる成分により、炎症を抑えたり、ブラッシングの効果を上げたり、また歯質の強化をしたりします。

これから代表的な薬効成分についてお話ししていきます。

ぜひご自身がお持ちの歯磨き粉の成分表示をご覧になってください。

『薬効成分』

①虫歯予防に対する働きをするもの

a)歯質の強化作用

「フッ化ナトリウム」「モノフルオロリン酸ナトリウム」「フッ化第一スズ」などのフッ化物は、歯を構成するエナメル質に働きかけることで、歯の耐酸性を向上し、虫歯になりにくくなります。

b)虫歯菌に対する作用

「塩酸クロルヘキシジン」「グルコン酸クロルヘキシジン」などの殺菌・抗菌剤は虫歯菌の繁殖を抑える働きがあります。

c)虫歯菌の除去をしやすくする作用

「デキストラナーゼ」などの酵素は、虫歯菌が作り出すネバネバの元である「デキストラン」を分解して虫歯菌を歯からはがれやすくし、ブラッシングでとりやすくします。

 

②歯周病、歯槽膿漏の予防

a)ヒノキチオール

タイワンヒノキ材から抽出された成分で、歯肉の炎症を抑える効果があります。

b)アラトイン

歯茎などの組織を活性化する作用と洗浄、止血作用などがあります。歯肉の炎症を抑える効果もあります。

c)塩化ナトリウム

お口の中を清掃する時に古来より使用されている「塩」です。塩が溶ける時に水分を取り込むので、炎症によって腫れた組織を引き締める効果があります。以前流行した『つぶ塩ハミガキ』はこの効果よりも、研磨剤としての効果を有していました。

d)トラネキサム酸

歯肉の炎症による出血を促進する作用のある酵素の力を阻害し、歯肉からの出血を抑制します。

e)塩化リゾチーム

市販の風邪薬に含まれている成分で、炎症によって生み出される分泌物を分解するものです。これにより歯周病によって歯肉に形成される付着物を取れやすくします。

f)酢酸トコフェロール

歯肉の血管の強化をすることで、出血を抑えて歯肉の血行を回復します。

 

③知覚過敏抑制

 a)乳酸アルミニウム

 

いかがでしたでしょうか。みなさんの使われている歯磨き粉にはどんな成分が入っていましたか?

 

 

長くなりましたが、私は患者さまにこの質問をされたときは、『フッ素が入っていれば後はブランドや味の好みでいいよ』と伝えています。

歯磨き粉ももちろん大事ですが、それよりも毎食後にしっかりブラッシングをして機械的にプラークを取り除くのが一番大切かと思っています。