こんにちは。
上尾市の歯医者 とも歯科矯正歯科クリニック院長の中川です。
今回も患者さまからの質問にお答えします。
本日の質問は定期検診で当院に通っていただいている50代男性からの質問です。
『いつも先生のところで歯石を取ってもらっているけど、そもそも歯石って何?』という質問です。
確かにいつもクリーニングして歯石を取って口の中はツルツルピカピカになるけど、なんのために歯石を取っているかはわからないですよね。
みなさん、『プラーク』という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
『プラーク』は日本語で『歯垢』といいます。
『歯垢』とは口の中の常在菌が歯に付着し塊になった状態をさします。
一般的に口の中には「虫歯菌」も「歯周病菌」も「口腔内常在菌(善玉菌)」も含め300〜700種類の細菌が生息していると言われています。
細菌の数は歯をよく磨く人でも1,000億〜2,000億匹もいて。歯をあまりよく磨かない人は4,000〜6,000億匹、ほとんど歯を磨かない人には1兆匹もいるといわれています。
↓口腔内の細菌を顕微鏡で拡大したもの
目には見えないものですが、私たちの口の中にはそのぐらいの量の細菌が常に存在しているのです。
最初の質問の『歯石とはなんですか』ですが、歯石は細菌の塊である歯垢(プラーク)が唾液の中のカルシウム等のイオンと結合し、石のように硬くなり石灰化したものです。
「歯垢(プラーク)」はいわゆる磨き残しなので歯ブラシで除去できますが、「歯石」は磨き残しではありません。なので歯ブラシでは除去できません。
↑歯ブラシで除去できる『歯垢(プラーク)』
↑歯ブラシでは除去できない『歯石』
唾液成分の中に含まれるカルシウムイオン等が歯石沈着を促進させる役割をはたしており、この成分が多い方は歯石がつきやすいと考えられています。
個人差はありますが、2、3日で歯垢(プラーク)が唾液の中の成分と結合して石灰化をはじめ、やがて歯石へと変化していきます。
歯石は放置するとどんどん硬くなり増え続けます。歯石の表面はデコボコザラザラしているため、さらにプラークが貯まりやすく細菌の温床となります。
歯石が沈着するのがほとんど歯と歯茎の境目です。歯石はばい菌の塊のため歯茎にばい菌が常に接している状態になります。
そうなると歯茎を刺激して、歯茎の炎症を起こします。(歯茎から血が出る、歯茎が腫れる等)いわゆる『歯肉炎』という状態です。
さらにそのまま歯石を放っておくと歯茎の下にある、顎の骨に影響を及ぼします。顎の骨が溶けてくるのです。(歯がグラグラする、噛むと痛い)いわゆる歯周病、歯槽膿漏という状態です。
歯石が付いていて、いいことはひとつもありません。ただ、どうしても付いてしまうものなのです。
歯石が付いてしまうのはしょうがないことだと思います。私も付きます。みんな付きます。
付いてしまうのが悪いのではないです。付いてしまったのを何もせずに放っておくのがよくないのです。
なので、当院では3ヶ月から半年に一度、定期検診を兼ねて歯石除去をするのをみなさんにおすすめしております。
定期的に歯石を除去することで歯周病のリスクは大幅に軽減します。
歯石の付着状況は個人差がございますので、歯石除去の頻度は変わりますが歯石を取り除いた後は歯の表面はツルツルすべすべになり、しばらく歯石も付きにくくなるのです。
最後になりますが、歯石はばい菌の塊です。もう硬くなってしまい歯にガッチリくっついているので、歯ブラシでは取れません。この歯石が歯周病、歯槽膿漏の大きな原因になりますので、定期検診で除去するのをおすすめします。