こんにちは。埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」です。
歯周病は成人の多くが罹患している身近な疾患ですが、その深刻さや予防方法についてはあまり知られていません。歯周病の症状の特徴や原因を知り、適切な予防法を実践することで、お口の健康を維持することができます。
今回は、歯周病とはどのような疾患なのか、どのような症状や原因があるのかについて詳しく解説します。歯周病が全身に及ぼす影響や予防法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
歯周病とは?
歯周病とは、歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットに細菌が侵入し、炎症を引き起こす病気です。細菌が歯肉に炎症を起こした状態を歯肉炎といい、歯肉炎がさらに進行して歯を支える歯槽骨が破壊されはじめる状態を歯周炎といいます。
歯周病は初期段階ではほとんど痛みを感じないのが特徴です。自覚症状がないまま進行することが多く、病状が進行すると、歯ぐきからの出血や歯の動揺などに発展し、重症化すると歯を失うこともあります。
歯周病は成人が歯を失う主要な原因となっており、40代以降では約半数の人が進行した歯周病であるといわれています。
歯周病の症状
歯周病の症状にはどのようなものがあるのか確認しましょう。
歯磨きのときに出血する
歯磨きをしたときに歯茎から軽い出血が見られるようなら歯周病の可能性があります。健康な歯茎は、適切な力で歯磨きをしても出血することはありません。出血は歯茎に軽度の炎症が生じている証拠です。
この段階での出血は痛みを伴わず、量も少ないため気づきにくいかもしれません。適切な歯磨き方法を実践しても出血が続くようなら歯周病の可能性が強く疑われます。
口臭がきつくなる
歯周病の進行に伴い口臭がきつくなることがあります。歯周病による口臭は、食べかすの腐敗によるものとは異なり、独特の臭いがあります。
歯茎の奥深くに潜り込んだ細菌は、酸素の少ない環境で繁殖し、特有の悪臭を放つガスを作ります。歯周病による口臭は通常の歯磨きやうがいだけでは完全に除去することが難しく、周囲の人に気づかれやすいでしょう。
歯茎が腫れる
歯周病が進行すると歯茎に軽度の腫れが現れ、歯茎の色が変化することがあります。健康な歯茎は薄いピンク色をしていますが、歯周病に罹患すると濃い赤色に変化します。こうした症状は歯茎の炎症によるものです。
歯と歯の間の三角形の部分が特に腫れやすく、本来なら引き締まっているはずの部分が、ふっくらとした状態になります。歯茎の形状や色に変化が起こると歯周病が疑われ、特に歯と歯の間の歯茎が、通常よりも膨らんでいるように見える場合は要注意です。
歯茎に痛みを感じる
歯周病がさらに進行すると、歯茎に痛みを感じるようになり、色も紫がかった色に変化していきます。歯周病は初期段階では痛みを感じないことが多いのですが、症状が進むにつれて痛みを感じるようになります。歯茎の痛みは炎症が歯茎の深部に及んでいることを示しています。
歯がグラグラする
進行した歯周病では歯がグラグラと動くようになり、これを歯の動揺と呼んでいます。また、歯茎から膿が出ることもあります。健康な歯は歯槽骨と歯根膜によってしっかりと固定されています。歯の動揺は、歯を支える歯槽骨と歯根膜が破壊されることで生じます。
歯を指で左右に軽くゆすってみたときに、指先で揺れを感じ取れる場合は、歯周病が進行している可能性が高く、特に上下の揺れを感じる場合はかなり進行した状態です。歯がグラグラする状態を放置すると、抜け落ちたり、抜歯が必要になったりするでしょう。
歯周病の原因
歯周病の原因を確認しましょう。
不適切な口腔ケア
不適切な口腔ケアは歯周病の原因になります。歯磨きの頻度が少なかったり、方法が間違っていたりすると、口腔内にプラークが蓄積しやすくなります。プラークは細菌の温床となり、歯肉に炎症を引き起こします。
のちほど詳しく解説しますが、口腔内を清潔に保つことが歯周病予防につながります。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは歯や歯周組織に過度の負担をかけます。歯ぎしりをすると、咀嚼のときとは異なり、歯に横方向の力が加わります。歯は垂直方向の力には強く、横方向の力には弱いです。歯ぎしりによって歯周組織が徐々に破壊されると、歯周病の進行につながります。
喫煙や飲酒
喫煙や過度の飲酒は、歯周病のリスクを高める生活習慣です。
タバコに含まれる有害物質は口腔内の環境を悪化させます。ニコチンは血管を収縮させ、歯肉への血流を減少させます。これにより、歯肉組織への酸素や栄養の供給が妨げられ、組織の修復能力が低下します。
また、一酸化炭素は赤血球の酸素運搬能力を低下させ、組織の酸素不足を悪化させます。さらに、喫煙は白血球の機能を低下させ、細菌に対抗する能力が弱まります。そのため、喫煙者は非喫煙者と比較して、歯周病に罹患するリスクが高くなるといわれているのです。
アルコールは口腔内を乾燥させ、唾液の分泌を抑制します。唾液には抗菌作用があり、口腔内を清潔に保つ役割を果たしています。唾液の減少は歯周病菌の繁殖を促進します。
また、飲酒後に歯磨きをせずに寝るような生活を続けていると、口腔内が不衛生になり、歯周病が進行しやすくなります。
ストレス
慢性的なストレスは体内のコルチゾールなどのストレスホルモンのレベルを上昇させ、免疫機能を抑制します。また、ストレスは唾液の分泌量を減少させます。これにより、口腔内の細菌に対する防御力が弱まり、歯周病菌が増殖しやすくなるのです。
また、強いストレスを感じている人は不健康な生活習慣になりやすい傾向があります。例えば、ストレス解消のために喫煙や飲酒をしたり、甘いものを過剰に摂取したりといったことが続くと歯周病の進行につながります。
さらに、ストレスは歯ぎしりや食いしばりの原因にもなります。上述のとおり、歯ぎしりや食いしばりは歯周組織にダメージを与え、歯周病のリスクを高めるのです。
歯周病が全身に及ぼす影響
歯周病は口腔内にとどまらず、全身の健康状態にも影響を与えます。どのような影響があるのか確認しましょう。
糖尿病
糖尿病は血糖値が異常に高くなる慢性疾患です。歯周病による炎症が全身に広がると、インスリン抵抗性が増し、血糖値のコントロールが困難になります。また、糖尿病患者は感染に対する抵抗力が低下しており、歯周病の進行が速くなることがわかっています。
心血管疾患
心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの心血管疾患は血液の流れが阻害されることによって引き起こされ、高血圧や喫煙、糖尿病などのリスク要因と関連しています。歯周病は心血管疾患のリスクを増加させると考えられているのです。
歯周病患者はそうでない人に比べて心筋梗塞や脳梗塞になりやすいといわれています。
生まれてくる赤ちゃんへの影響
出生時の体重が2,500グラム未満の新生児を低出生体重児といいます。低出生体重児は、早産や胎児発育不全によって生じることが多いとされています。
妊婦の歯周病は低出生体重児のリスクを増加させることが知られています。歯周病による炎症が全身に広がり、母体と胎児の免疫反応に影響を与えるためです。そのため、妊娠中の口腔ケアは非常に重要です。
骨粗しょう症
骨粗しょう症は、骨の密度が低下し、骨が脆くなって骨折しやすくなる病気です。主に高齢者に多く見られ、なかでも女性は閉経後にリスクが高まります。
歯周病と骨粗しょう症との関連が示されています。骨粗しょう症の患者は骨の強度が低いため、歯周病が進行しやすいです。また、歯周病の進行によって全身の骨密度に影響が出る可能性があります。
歯周病の予防法
歯周病の予防法を確認しましょう。
プラークコントロールを徹底する
歯周病予防の基本は毎日の正しい歯磨きです。
歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、軽い力で小刻みに動かすと効果的です。1か所につき優しく20回程度磨くことで、プラークをしっかり除去できます。特に、歯と歯の間や歯並びの悪い部分は念入りに磨くことが大切です。
歯ブラシだけでは取りきれない歯と歯の間のプラークを除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが推奨されます。
定期的に歯科検診を受ける
定期的な歯科検診は、歯周病予防に欠かせません。歯科医院で行われるプロフェッショナルクリーニングでは、歯磨きでは取り除けない歯石やプラークを徹底的に除去します。特に、歯周ポケット内の清掃に効果的です。
また、定期的に歯科検診を受けることで、歯周病をはじめとする口腔内のトラブルを早期に発見できます。早期発見により、軽度のうちに治療を行うことができ、重症化を防ぐことができるでしょう。
生活習慣を見直す
歯周病の悪化につながる生活習慣を見直すことも大切です。
喫煙は歯周病のリスクを高める要因です。タバコに含まれる有害物質が歯茎の血流を悪化させ、免疫力を低下させるため歯周病が進行しやすくなります。禁煙することで、歯周病のリスクを減少させることが可能です。
糖質の過剰摂取はプラークの形成を促進し、歯周病のリスクを高めます。甘い飲み物や粘着性の高いお菓子はプラークが付着しやすく、口腔内の細菌が増殖しやすくなります。糖質の摂り過ぎには注意しましょう。
また、ストレスは免疫機能を低下させ、歯周病のリスクを高めます。適度な運動やリラクゼーション法を取り入れ、ストレスを管理することが歯周病予防に役立ちます。十分な睡眠をとることも、免疫力を維持して歯周病を予防するうえで重要です。
まとめ
歯周病とは、歯周ポケットに侵入した細菌によって炎症が起こる病気です。歯周病は成人が歯を失う主要な原因です。さらには糖尿病や心血管疾患などのように、口腔内にとどまらず、全身の健康状態に深刻な影響を与えます。
初期段階では症状も軽く、歯磨きのときに出血する程度なので、放置してしまいがちです。進行すると、歯茎が濃い赤色や紫色に変色し、腫れや痛みが出るようになります。やがて、指で軽くふれただけでも歯がグラグラするようになり、膿が出たり、口臭が悪化したりします。
歯周病を予防するためには、毎日しっかりと歯磨きを行うことが非常に重要です。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなども使用して、汚れをしっかり落としましょう。
また、定期的に歯科医院で検診を受けることも、歯周病を予防するうえでは重要です。歯科検診では歯周ポケットのチェックを必ず行います。また、正しい歯磨きの方法についてもアドバイスをもらうことができるでしょう。
歯周病にお悩みの方は、埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
当院は、痛みを癒すだけでなく生活の質を向上できる歯科治療を目指して診療を行っています。小児矯正・小児歯科や成人矯正、虫歯・歯周病治療、ホワイトニングなどさまざまな治療を行っています。