こんにちは。埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」です。
昔に比べると、現代の子どもたちの顎は小さい傾向があります。「顎が小さいと小顔になれてよいのでは」と思う方もいるかもしれません。
しかし、顎が小さいと歯並びや発音が悪くなるなど、さまざまな影響があります。お子さまが健康に成長するためにも、大切な成長期に顎の成長を正しく導くことは重要です。
この記事では、子どもの顎が小さくなる原因や、顎が小さいと起こる問題、顎の成長を導く方法などについて解説します。
目次
子どもの顎が小さい原因
子どもの顎が小さい原因には、先天的なものと後天的なものがあります。特に、後天的な原因には、成長期の子どもの食生活が大きく関係しています。
本項目では、子どもの顎が小さくなる原因についてまとめました。
食事の内容
柔らかいものや加工製品ばかりを好む傾向にあると、顎の骨がうまく成長しない可能性があります。例えば、ハンバーグ、ソーセージ、スクランブルエッグなどは、あまり噛まなくても飲み込めます。どれも美味しく子どもにも大人気で、消化しやすいものを食べさせてあげたいという愛情から、柔らかいものを好んで献立に取り入れることもあるでしょう。
しかし、体を成長させるためには適度な刺激が必要です。身体だけでなく顎の骨も成長する大切な時期なので、柔らかいものばかり食べていると顎や口の周りの筋肉が発達しません。
バランスを考えて、柔らかいものだけの食卓にならないよう意識しましょう。
食べ方
食べ方も、顎の発達に大きく関係しています。例えば、あまり噛まずに丸呑みしたり、食べるときの姿勢が悪かったりすると、顎が正しく成長せずに小さいままになるかもしれません。
特に、柔らかいものばかり食べる傾向がある場合は噛まずに飲み込むことが多いでしょう。硬いものが出てくる頻度が低いと、しっかりと噛む習慣がないため丸呑みすることも少なくありません。
このような食べ方が定着していると、顎が小さい原因になります。
遺伝
顎の骨の形や大きさは、遺伝の影響を受けます。両親のどちらかの顎が小さい場合は、お子さまの顎も小さい可能性が高いでしょう。
遺伝の場合、成長期に正しく成長するように治療することで顎の骨を広げられることがあります。両親の顎が小さいときには、早めに歯科医師に相談したほうがよいでしょう。
顎が大きさはいつごろ決まる?
子どもの上顎の大きさは、6歳くらいから10歳くらいの間でほぼ決まります。下顎の骨は思春期に成長のピークを迎えるので、男の子は18歳ごろ、女の子は13歳ごろにほぼ決まるでしょう。
子どもの顎が成長する時期に、成長を正しく導くことによって顎が小さくなるのを予防できるかもしれません。
子どもの顎が小さいとどのような影響がある?
子どもの顎が小さいままだと、口腔内や全身の健康に影響を与えるリスクが高いでしょう。本項目では、子どもの顎が小さいときに起こるリスクについて解説します。
歯並びが悪くなる
顎が小さいと、歯並びが悪くなるリスクがあります。歯のサイズに対して顎のサイズが小さいと、歯が生える十分なスペースを確保できないからです。出っ歯になったり叢生(ガタガタした歯並び)になったりします。
歯並びが悪いとさまざまな問題につながります。
- 虫歯や歯周病になるリスクが高まる
- 審美性が低下する
- 発音が悪くなる
- 噛み合わせが悪くなりご飯をしっかりと噛めない
上記のように、日常生活に支障が出ることも少なくありません。
いびきや無呼吸症候群の原因になる
下顎が小さいことで、いびきや無呼吸症候群に悩まされる可能性も高くなります。顎が小さいと、寝ているときに舌が喉のほうに落ち込んで気道が狭くなるからです。
いびきや無呼吸症候群になると、良質な睡眠がとれずに疲労感が抜けないでしょう。いびきがうるさいことを友達に指摘されるなどして、精神的なストレスになることもあります。
滑舌が悪くなる
顎が小さいと、舌が十分に動くスペースがとれなかったり歯並びが悪くなったりするため、滑舌が悪くなります。特に、サ行・タ行・ラ行などの発音がはっきりとできないケースが多いでしょう。
滑舌が悪いことが気になって、人とのコミュニケーションを避けたりする方も珍しくありません。
鼻腔が狭くなる
上顎が狭いと鼻腔も狭くなり、鼻づまりを起こしたり口呼吸になったり、扁桃腺が腫れたりします。鼻詰まりで息をするのが難しくなると、口呼吸になります。空気中にある細菌が、直接喉や扁桃腺に届き炎症を起こす原因になるでしょう。
また、口呼吸をしていると口腔内が乾燥するので、細菌が繁殖しやすい環境となるでしょう。身体の健康にも影響が出るのです。
子どもの顎を広げる治療法
顎が最も成長する時期に子どもの顎を広げる治療をすることで、顎が小さくなるのを防げるかもしれません。子どもの顎を広げる治療法は、子どもの顎の状態や問題となっている原因を考えて選択します。
具体的な方法とは、次のとおりです。
マウスピース矯正
マウスピース型の装置を装着することで、口の筋肉の発達と顎の骨の発達を促進します。装着時間は、装置の種類によって異なります。
例えば、インビザライン・ファーストは、大人のマウスピースと同じで1日20時間以上装着しなければなりません。プレオルソやマイブレースなどの装置は、日中の1〜2時間と就寝時に装着します。
どの装具がお子さまの口の状態や生活習慣にあっているかを考えて、歯科医師とよく話し合って決定しましょう。
拡大装置
拡大装置は、骨の顎を拡大し成長を促すための装置です。取り外しが可能な装置と、固定式の装置があります。上顎の骨が最も成長する混合歯列期に装置を使って顎の成長を促進します。
拡大装置を使うことで、鼻腔を広げたり歯が生えるスペースを確保したりできるでしょう。拡大装置は、短期間で骨を拡大する治療法と1〜2年かけてじっくりと拡大する治療法があります。
ふだんの生活で顎の成長を促す方法
治療をして子どもの顎の成長を促進するのも重要ですが、最も大切なのはふだんの生活の中で顎の成長を助けてあげることです。特に、後天的な原因で顎が小さい場合は生活に気をつけると顎の成長を促せるでしょう。
本項目では、ふだんの生活で顎の成長のために心がけたいことについて説明します。
硬いものを食べる習慣をつける
顎の成長を促すために、硬いものを積極的に食べる習慣を身につけましょう。上記でも紹介したとおり、成長期に柔らかいものばかりを食べることは顎が小さくなる原因の1つです。
おやつの時間にせんべいやするめ、りんごなど、しっかりと噛む必要のあるものを取り入れましょう。
また、肉は顎の力を鍛えるのに向いている食べ物です。肉の塊やスジを噛み切ったり小さく噛み砕いたりするうちに、顎の成長を促進できるでしょう。
肉類を食べる際は、加工肉や成型肉ではなく、手が加わっていない一般的な肉を選んでください。
よく噛んで食べる
食事をする際は、よく噛んで食べましょう。具体的には、一度食べ物を口に入れると30回噛むことを習慣づけるとよいでしょう。
硬いものだけでなく柔らかいものに関しても、しっかりと噛めば顎や口周辺の筋肉の成長を促せます。また、脳へ刺激が伝わるため、頭の回転がよくなったり集中力を高めたりする作用も期待できるでしょう。
食べるときの姿勢に気をつける
食べるときの姿勢も気をつけましょう。椅子にしっかりと腰掛け、背中をピンと伸ばして食事をして、噛むときは顎を引きましょう。
特に、スマホをいじったりテレビを見たりしながら食事をすると、猫背になったり椅子にちゃんと腰掛けていなかったりと姿勢が崩れます。食事とスマホの時間のメリハリをつけることを心がけてください。
まとめ
子どもの顎が小さいと歯並びが悪くなり、噛み合わせや発音、見た目に影響します。鼻腔へ影響が出て無呼吸症候群に悩まされることもあるでしょう。
顎の成長が最も活発になる混合歯列期に、顎が正しく成長できるように導くことが重要です。ふだんの生活でも硬いものをよく噛んで食べ、正しい姿勢で食事をすることを心がけてください。
また、早いうちに顎の成長を促す治療をすることも大切なポイントです。顎の大きさや歯並びの悪さが気になったときには、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
子どもの矯正治療を検討されている方は、埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。