こんにちは。埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」です。
お子さまの歯並びを整える矯正治療の一つに、床矯正という方法があるのをご存じでしょうか。床矯正は6歳から11歳頃の子どもが対象の矯正治療です。早期に床矯正を開始することで、歯列だけでなく骨格から矯正することが可能です。
一方で、床矯正にはデメリットも存在します。
今回は、床矯正のデメリットとメリットについて詳しく解説します。床矯正で治療できる歯並びについても解説していますので、お子さまの歯並びが気になっている方はぜひ参考にしてください。
目次
床矯正とは?
床矯正とは、成長期にある子どもの顎の骨の成長を促し、顎の骨を広げて歯並びを整える矯正治療です。一般的に、6歳から11歳頃の子どもを対象に行われます。
歯並びが悪くなる原因の一つとして、顎の骨が小さいことが挙げられます。
顎の骨が小さいと、歯がきれいに並ぶための十分なスペースが確保できません。そのため、狭いスペースに歯が押し合って生えて歯並びが悪くなります。
顎の骨の大きさが原因で歯並びが悪い場合、大人になってから歯並びを矯正しようとすると、健康な歯を抜歯したり顎の骨の切除手術が必要になったりするケースがあります。
一方で、子どものうちに床矯正をすれば、顎の骨の成長をコントロールして適切に広げ、歯がきれいに並ぶための十分なスペースを確保できます。将来的に、抜歯や顎の骨の切除手術を伴う矯正治療を避けられる可能性が高くなるのです。
床矯正の5つのデメリット
床矯正は、抜歯せずに歯並びを整えることができる矯正治療ですが、治療にはデメリットも存在します。床矯正のデメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- 可能な時期が限られている
- 治療期間が長い
- 治療効果が患者さまに左右される
- 歯並びの細かい調整はできない
- 発音が不明瞭になることがある
床矯正をする上では、これらのデメリットを考慮する必要があります。治療を開始する前に十分に理解しておくことが大切です。
それぞれ詳しく解説します。
可能な時期が限られている
床矯正の対象は、6歳から11歳頃の子どもです。床矯正で治療できる時期は限られているのです。
床矯正を開始するタイミングは、乳歯が永久歯に生え変わる時期とされています。具体的には、前歯が4本とも永久歯になっており、かつ、永久歯が生え揃う前の時期です。
そのため、床矯正を検討している場合は早い段階から歯科医師に相談しましょう。適切なタイミングで矯正治療を開始することが重要です。
治療期間が長い
顎の骨の成長具合によって治療期間には個人差が生じますが、6歳頃から矯正治療を開始して11歳頃まで経過を観察するのが一般的です。治療中は、定期的な通院が必要になります。
他の矯正治療でかかる期間の目安は、2~3年程度です。床矯正は子どもの成長に合わせて徐々に顎の骨を広げる治療方法のため、他の矯正治療と比較して期間が長くなる傾向にあります。
治療効果が患者さまに左右される
床矯正は、矯正装置を簡単に取り外すことができることがメリットです。
しかし、計画通りに治療を進めるためには、1日14時間以上装着する必要があります。矯正装置を長時間外したままでいたり、頻繁に矯正装置を外したりしていると、計画通りに治療が進まず治療期間が長引く可能性があるため注意が必要です。
また、矯正治療中は周囲のサポートが必要になるでしょう。子どもが矯正装置を決められた時間装着できているか、周囲の大人がチェックして声掛けすることが大切です。
歯並びの細かい調整はできない
床矯正は、顎の骨を広げて歯をきれいに並べるためのスペースを確保することが目的の矯正治療です。歯の位置を調整する治療ではないので、床矯正だけでは歯並びを完全にきれいに整えることはできません。
そのため、歯並びの細かい調整をしたい場合や、歯を大きく移動する必要がある重度の不正咬合の場合は、ワイヤー矯正を行います。
発音が不明瞭になることがある
床矯正では、矯正装置の違和感があることや舌の動きが制限されることで、発音が不明瞭になる場合があります。
特に、治療開始後しばらくの間は、舌の動きが制限されることに慣れないでしょう。話しにくさを感じることが増え、ストレスにつながる可能性があります。
床矯正の5つのメリット
床矯正のデメリットを前述しましたが、もちろんメリットもあります。床矯正のメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- 抜歯せずに歯並びを改善できる
- 矯正装置を取り外しできる
- 虫歯のリスクを減らせる
- 矯正に伴う痛みが少ない
- 費用を抑えることができる
それぞれ解説します。
抜歯せずに歯並びを改善できる
床矯正の最大のメリットは、抜歯が不要であることです。
歯並びが悪くなる原因の一つとして、顎の骨が小さいことが挙げられます。床矯正では、顎の骨の成長をコントロールして徐々に広げることで、歯がきれいに並ぶためのスペースを確保できます。
そのため、抜歯をせずに歯並びの矯正が可能になります。
また、子どものうちから床矯正をしておくことで、大人になってからの矯正治療が不要になるケースもあります。抜歯や顎の骨の切除を伴う矯正治療を回避できることもあるでしょう。
矯正装置を取り外しできる
床矯正は、簡単に矯正装置を取り外しできます。ワイヤー矯正では、学校の体育の時間や運動をする際に、口の中を傷つけてしまう可能性があるでしょう。
床矯正は取り外せるので、その心配がありません。また、記念写真を撮る際なども、矯正装置を一時的に取り外せるので見た目を気にする必要がありません。
虫歯のリスクを減らせる
床矯正では、矯正装置を簡単に取り外すことができるため、食事や歯磨きを普段通りに行えます。ワイヤー矯正では磨き残しがないように歯磨きをすることが難しく、歯垢が溜まり虫歯になりやすいという問題があります。
矯正に伴う痛みが少ない
床矯正は子どもの成長に合わせて徐々に顎の骨を広げる矯正治療のため、痛みが少ないといわれています。ワイヤー矯正よりも弱い力をかけて顎の骨をゆっくり広げているため、ワイヤー矯正と比べて痛みが出にくいのです。
費用を抑えることができる
床矯正の費用の相場は30~40万円程度であり、ワイヤー矯正と比べると費用を抑えられます。
また、子どものうちに床矯正を受けると、大きく歯並びが乱れることは少ないです。大人になってから歯列矯正が必要になっても、抜歯や顎の骨の切除手が不要になるでしょう。将来的な治療の費用を抑えることにもつながります。
床矯正で治療できる歯並び
床矯正では、以下のような歯並びの治療が可能です。
- 叢生(歯並びがデコボコしている)
- 交差咬合(噛み合わせが一部だけ反対になっている)
- 上顎前突(出っ歯)
- 下顎前突(受け口)
- 上下顎前突(口ゴボ)
- 開咬(口を閉じた時に上下の前歯に隙間が生じる)
ただし、床矯正は顎の骨を拡大することで、歯が綺麗に並ぶためのスペースを確保する治療です。重度の不正咬合の場合は、床矯正だけでは治療が難しいと判断されるでしょう。
床矯正での治療が可能かどうかの判断をご自身でするのは難しいため、カウンセリングで歯科医師に相談しましょう。
まとめ
今回は、床矯正のデメリットとメリットについて解説しました。床矯正を適切なタイミングで開始すれば、抜歯せずに歯並びを整えることができます。
治療の開始時期や適応症例が限られている、治療期間が長くなる場合がある、自己管理によって治療の効果が左右される、発音が不明瞭になるなどのデメリットも存在します。メリットとデメリットを十分に理解してから、治療を開始することが大切です。
お子さまの歯並びが気になって矯正治療を検討している方にとって、この記事が参考になれば幸いです。
床矯正を検討されている方は、埼玉県上尾市にある歯医者「とも歯科 矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。